このコラムについて(まずお伝えしておきたいこと)
このコラムは、
「不動産を売却したいけれど、流れや注意点がよくわからない」
「はじめての不動産売却で、できるだけ失敗したくない」
という中小企業オーナー・個人オーナーの方に向けた、
一般的な情報提供・考え方の整理を目的としたコラムです。
税金や法律、登記などの内容は、
お一人おひとりの状況によって結論が大きく変わりますし、制度も変わる可能性があります。
そのため、本記事は
税理士・弁護士・司法書士などの専門家による個別のアドバイスではありません。
実際の税務・法務判断や手続きについては、
必ず顧問の税理士や弁護士・司法書士など専門家にご相談ください。
はじめての不動産売却で多い「3つの不安」
不動産売却のご相談を受けていると、
はじめて売却される方から、よく次のようなお声を伺います。
1. 何から始めればいいのかわからない
- いきなり不動産会社に電話していいのか
- その前に自分で調べるべきことがあるのか
- どのタイミングで売却の意思を固めるべきなのか
最初の一歩がイメージできず、なかなか動き出せない方が多いです。
2. いくらで売れるのか・相場がわからない
- 自分の物件はそもそも「売れる」のか
- 近所の相場はいくらくらいなのか
- 「安く売ってしまわないか」が心配
不動産は金額が大きいため、
不動産売却価格の相場感がないまま話が進むことに不安を感じる方が多くいらっしゃいます。
3. 不動産会社にどう相談すればいいのか不安
- どの会社に相談すればいいのか
- 営業されすぎるのがこわい
- 専門用語を並べられても、ついていける自信がない
このような不安から、
「ずっと気になっているけれど、相談を先延ばしにしている」という方も多いです。
不動産売却の流れを7ステップでイメージする
ここからは、不動産売却の一般的な流れを
7つのステップに分けて整理していきます。
全てを完璧に覚える必要はありません。
まずは、
「不動産売却は、この順番で進んでいくんだな」
という全体像をつかむことをゴールに読んでみてください。
売却の目的と、ざっくりとした希望条件を整理する
いきなり「いくらで売れるか?」から考えるのではなく、
まずは売却の目的をはっきりさせることが大切です。
例えば、
- ローンの返済負担を軽くしたい
- 現金化して、事業や次の投資に使いたい
- 相続や将来のトラブルを避けるために整理したい
- 空室が増えてきたので、一度リセットしたい
…など、目的によって 「どこまで価格にこだわるか」「いつまでに売りたいか」 が変わってきます。
この時点では、
- 「できれば○○円以上で売りたい」
- 「○ヶ月以内には現金化したい」
といったざっくりしたイメージで構いません。
相場感をつかむために簡易査定をしてみる
次に、不動産売却の相場感をつかむために、
不動産会社に「簡易査定」を依頼します。
- 住所、面積、築年数などの情報をもとに
- 近隣の取引事例などを参考に
- 「だいたいこれくらいで売れそう」という目安価格(査定価格)を出してもらうイメージです。
ここで大事なのは、
- 査定価格はあくまで「目安」であり、「その価格で必ず売れる」という保証ではない
- 1社だけでなく、複数社の査定を比較することで、相場の幅が見えやすくなる
という点です。
査定の段階では、
「まだ売却するかどうか決めていないが、相場だけ知りたい」という相談も問題ありません。
不動産会社を選び、媒介契約を結ぶ
査定を通して、ある程度の相場感が見えてきたら、
実際に売却を任せる不動産会社を選びます。
ここで結ぶのが「媒介契約(ばいかいけいやく)」です。
これは、
「この物件の売却を、この不動産会社に依頼します」
という約束ごとの契約です。
媒介契約にはいくつか種類がありますが、
代表的には:
- 専属専任媒介契約
- 専任媒介契約
- 一般媒介契約
などがあります。
それぞれ、
- 1社のみに任せるのか、複数社に依頼できるのか
- 報告義務の頻度はどうか
といった違いがありますが、
難しい部分は不動産会社からの説明を聞きながら、自分に合う形を選べばOKです。
販売活動(広告・内見・問い合わせ対応)が始まる
媒介契約を結ぶと、
不動産会社が本格的に**販売活動(広告)**を行います。
具体的には、
- インターネットの不動産ポータルサイトへの掲載
- 自社ホームページへの掲載
- 担当者のネットワークを通じたご紹介
- 看板・チラシなどの広告
などです。
買主候補から問い合わせがあった場合は、
- 実際に室内を見てもらう「内見」
- 周辺環境や管理状況などの説明
が行われます。
この段階で売主側が意識しておきたいのは、
- 内見時には、できるだけ「印象」を良くしておく(清掃・整理整頓など)
- 価格交渉もあり得る前提で、少し余裕を持った価格設定にする ことも検討する
といった点です。
買主との条件交渉・売買契約
買主候補が見つかり、
「この価格なら買いたい」という話が出てきたら、
条件交渉・売買契約の段階に入ります。
ここでは、
- 売買代金(いくらで売るか)
- 手付金の額
- 契約日・決済日(引き渡し日)
- 引き渡し時の状態(残置物があるかどうか など)
といった具体的な条件を詰めていきます。
条件がまとまったら、
不動産会社が作成した売買契約書の内容を確認し、
買主・売主双方が署名・押印をして、正式な契約となります。
契約の際には、
「重要事項説明」という、不動産の権利関係や状況に関する説明も行われます。
専門用語も多いですが、気になる点は遠慮なく質問しながら進めることが大切です。
※契約内容に不安がある場合は、事前に専門家へ相談する方法もあります。
決済・引き渡しと、必要な書類の準備
売買契約が締結されると、
次は決済(代金の支払い)と物件の引き渡しです。
一般的には、
- 買主が金融機関から住宅ローンなどの融資を受け
- 売主は残代金を受け取り
- 所有権の移転登記を行い
- 鍵を引き渡す
という流れで進みます。
このとき売主側で必要になる書類としては、たとえば:
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 登記済証(権利証)または登記識別情報
- 印鑑証明書
- 住民票
- 管理規約・パンフレット(マンションの場合)
などがあります。
※必要書類は物件や状況によって変わるため、具体的には不動産会社や司法書士からの案内に沿って準備していきます。
売却代金の使い方・次の一手を考える
代金を受け取り、不動産の引き渡しが完了しても、
不動産売却はそれで「完全に終わり」ではありません。
- 売却益(もうけ)が出た場合の税金
- ローンの完済・抵当権抹消の手続き
- 売却代金を今後どう活かしていくか(事業・次の投資・借入返済など)
といったことを考える必要があります。
特に中小企業オーナーの場合は、
- 事業の投資資金に回すのか
- 借入を返して財務を安定させるのか
- 新たな不動産投資の原資にするのか
といった選択によって、
会社の今後の見え方が大きく変わることも少なくありません。
ここまで含めて、
「売った後のお金の使い方までセットで考える」
ことが、失敗しない不動産売却のポイントです。
中小企業オーナーならではのチェックポイント
不動産売却の流れは共通していますが、
中小企業オーナーの場合、特に次のようなポイントが重要になります。
1. 会社名義か個人名義かで、お金と税金の流れが変わる
不動産が会社名義なのか、個人名義なのかによって、
- 売却代金がどこに入るのか(会社か、個人か)
- どこで税金が発生する可能性があるか
が変わってきます。
これは前回の記事(2本目)とも関わる部分ですが、
税金や決算への影響は、必ず税理士など専門家と確認することをおすすめします。
2. 売却代金の「使い道」で、ベストな選択が変わる
- 借入金の返済を優先するのか
- 設備投資・新規事業に回すのか
- 会社と個人、それぞれの資産バランスをどうしたいのか
によって、「いつ・どの価格で売るのが良いか」の考え方も変わります。
3. 銀行との関係・決算への影響も事前に確認しておく
不動産売却は、
- 決算書の見え方
- 銀行からの評価
にも影響することがあります。
事前に、
- メインバンクに一度相談しておく
- 決算書にどう反映されるか、税理士に確認しておく
ことで、後から「こんなはずでは…」を減らすことができます。
不動産会社に相談する前に準備しておくとスムーズなこと
不動産会社に相談する前に、
次のようなことを軽く整理しておくと、話がスムーズに進みます。
1. ざっくりでいいので、希望条件を書き出してみる
- 希望売却価格(「○○円以上だと嬉しい」レベルでOK)
- 売却希望時期(「できれば半年以内に」など)
- 売却理由(資金化したい、整理したい、相続対策など)
完璧でなくて大丈夫です。
頭の中にあるものを一度紙に出すだけでも、整理が進みます。
2. ローン残高や毎月の返済額を把握しておく
- 住宅ローンやアパートローンの残高
- 毎月の返済額
- 金利タイプ(固定・変動など)
これらを把握しておくと、
- 手残りがどれくらいになりそうか
- 売却が妥当かどうか
のイメージがつきやすくなります。
3. 物件の資料があれば探しておく
- 登記簿謄本(権利証・登記識別情報など)
- 間取り図・パンフレット
- 管理規約・長期修繕計画(マンションの場合)
などが手元にあれば、不動産会社との打ち合わせもスムーズです。
もし見つからない場合でも、多くは後から取得・再発行できるので、
「なければ売却できない」ということではありません。
まとめ|「売ること」だけでなく、「売った後どうするか」までセットで考えましょう
はじめての不動産売却は、
金額も大きく、わからないことも多いため、不安になって当然です。
ただ、
- 売却の目的
- 不動産売却の流れ(7ステップ)
- 中小企業オーナーならではのポイント
を整理しておくだけでも、
「何から聞けばいいか分からない状態」
から
「このあたりを相談したいと、不動産会社に伝えられる状態」
へ、かなり前進できます。
不動産の売却は、
「売れたら終わり」ではなく、「売れた後のお金とどう付き合うか」が本当のスタートです。
中小企業オーナー・個人オーナーの不動産売却でお手伝いできること
「うちの物件の場合、どんな進め方が良さそうか一度整理したい」
「売却とあわせて、資金繰りや次の投資のことも相談したい」
という中小企業オーナー・個人オーナーの方は、
どうぞお気軽にお問い合わせください。
株式会社ICHIRYUでは、
- 不動産売却・収益不動産の実務
- 資金繰りや銀行対応を含めた経営財務の視点
の両方から、
不動産とお金の話を「同じテーブルで」整理しながら、オーナーの意思決定をサポートしていきます。
相談はこちらから↓↓

