このコラムについて(はじめに)
このコラムは、
「空き家になった実家を売るか、貸すかで迷っている」
「しばらく使っていない家やマンションをどうするか決められない」
という個人オーナー・中小企業オーナーの方に向けて書いた、
一般的な情報提供・考え方の整理用コラムです。
税金や法律、相続手続きなどの内容は、
人それぞれ状況が違い、制度も変わる可能性があります。
そのため、この記事は
税理士・弁護士・司法書士などの専門家による個別のアドバイスではありません。
実際の税務・法務・相続・登記などについては、
必ず顧問の税理士・弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。
この記事では、
- 空き家・使っていない実家を「売るか貸すか」考えるときの
- 5つのポイント(お金・手間・リスク・将来・気持ち)
を、できるだけやさしい言葉で整理していきます。
空き家・実家の不動産でよくあるお悩み
空き家や使っていない実家のご相談を受けていると、
よくこんなお声を伺います。
- 「親が亡くなって実家が空き家になったが、そのままにしてしまっている」
- 「いつか子どもが住むかもしれないと思うと、売ってしまっていいのか悩む」
- 「売るか貸すか決められず、固定資産税だけ払い続けている」
どれも、とてもよくあるお悩みです。
結論から言うと、
**「売るのが正解」「貸すのが正解」**と一概には言えません。
大切なのは、
- 収支(お金のプラス・マイナス)
- 必要な手間や管理の負担
- トラブルのリスク
- 将来の相続や家族の状況
- 自分や家族の「気持ち」
を整理したうえで、自分たちに合った選択をしていくことです。
「売るか貸すか」を考える5つのポイント
ここからは、
- 収支のイメージ
- 手間・管理の負担
- リスク(空き家・賃貸トラブルなど)
- 将来の相続・ライフプラン
- 自分や家族の気持ち
という5つのポイントに分けて、
「売却」と「賃貸」を見比べていきます。
収支のイメージ:売却の場合と賃貸の場合
まずは一番わかりやすい「お金」の話です。
売却した場合のイメージ
- 売却代金から、
- ローン残高
- 仲介手数料
- 譲渡所得税などの税金(利益が出た場合)
を差し引いた金額が、手元に残るお金になります。
- 一度売ってしまえば、
- 固定資産税
- 将来の修繕費
などの負担はなくなります。
賃貸に出した場合のイメージ
- 毎月の家賃収入が入りますが、
- 管理会社への管理委託料
- 修繕費
- 固定資産税
- 空室期間
などを差し引いて考える必要があります。
- ローンが残っている場合は、家賃収入とローン返済のバランスも重要です。
「売るか貸すか」を考えるときは、
売った場合の手取り
vs
貸した場合の「年間の手取り家賃 × 何年くらい持ち続けるか」
を、ざっくりでも数字にしてみると、イメージしやすくなります。
※税金の詳しい計算は税理士など専門家への確認が必要ですが、
ここでは「どちらが自分たちにとって現実的か」を比べるイメージでOKです。
手間・管理の負担:どこまで自分で対応できるか
次に、「手間」の話です。
空き家のまま・売却せず放置した場合
- 定期的な換気・通水(カビや配管トラブル防止)
- 草木の手入れ・近隣への配慮
- 雨漏り・劣化への対応
など、思っている以上に管理の手間がかかります。
賃貸に出した場合
- 入居者とのやり取り
- 故障・設備トラブルの対応
- 更新手続き・退去立ち会い
- 原状回復工事の手配
などが発生しますが、
管理会社に任せることで、かなり軽くすることもできます。
売却した場合
- 決済・引き渡しまで完了すれば、その後の管理の手間は基本的になくなります。
「自分や家族が、どこまで手間をかけられるか」
「別の地域に住んでいて、頻繁には行けない」
といった現実的な条件も、判断材料としてとても大切です。
リスクの違い:空き家リスク・賃貸リスク
「売るか貸すか」を考えるときは、リスクの方向性が違うことも知っておく必要があります。
空き家のまま・売らずに放置するリスク
- 建物の劣化や防犯面の不安
- 台風・地震などの災害時の被害拡大
- ご近所トラブルにつながる可能性(雑草・ごみの不法投棄 など)
今は空き家問題に対する行政の目も厳しくなっているため、
「放置」はリスクが高い選択肢になりつつあります。
賃貸に出す場合のリスク
- なかなか入居者が決まらず、空室期間が長くなるリスク
- 家賃を滞納されるリスク
- 退去時の原状回復をめぐるトラブル
- 近隣住民とのトラブル など
これらは、
- 管理会社との連携
- 家賃保証会社の利用
などで軽減できる部分もありますが、
ゼロにはならないリスクです。
売却する場合のリスク
- 売却後に相場が上がるかもしれない(チャンスロス)
- 思ったより高く売れなかったと感じる可能性
などがありますが、
売却してしまえば、その後の管理・トラブルのリスクはほぼなくなります。
将来の相続・家族のライフプラン
空き家・実家の不動産は、
相続や家族のライフプランとも深く関わってきます。
例えば、
- 将来、子どもや親族の誰かが住む予定はあるか
- その地域に家族が戻ってくる可能性はどれくらいか
- 兄弟姉妹で共有名義になっている場合、将来どう分けるのか
といったことを、ざっくりでも考えておくと、
「今売るべきか、しばらく貸しておくべきか」の方向性が見えやすくなります。
相続の具体的な税金や手続きについては、
税理士・弁護士・司法書士など専門家のサポートが必要ですが、
「この家を、将来どうしたいか」
「誰に・どのように引き継ぐイメージなのか」
だけでも家族の中で話し合っておくと、
後々のトラブルをぐっと減らすことができます。
自分や家族の「気持ち」も大事な判断材料
最後に、意外と見落とされがちですが、
「気持ち」の部分もとても大事な判断材料です。
- 親が暮らしていた家を、すぐには手放しづらい
- 思い出が詰まっているので、できれば残しておきたい
- 一方で、見るたびにいろいろ思い出して辛い
など、数字だけでは割り切れない部分がたくさんあります。
また、
- 売却してスッキリしたい
- 管理や固定資産税の負担から解放されたい
という気持ちも、立派な理由です。
「売るべき」「貸すべき」と外から決めつけられるものではなく、
数字やリスクを理解したうえで、最終的にはご家族の気持ちを大切にしてほしいと感じています。
売るか貸すかで迷ったときの整理の仕方
ここまで読んでも、
「やっぱり決めきれない…」
ということもあると思います。
そんな時は、紙やメモアプリなどに、
- 売却した場合のメリット・デメリット
- 賃貸に出した場合のメリット・デメリット
を、思いつくまま書き出してみるのがおすすめです。
- お金のこと
- 手間のこと
- リスクのこと
- 家族の将来のこと
- 気持ちのこと
を書き出してみると、
頭の中が整理されて、「今の自分たちにとって、どちらがしっくりくるか」 が見えやすくなります。
まとめ|「今どうするか」と「将来どうしたいか」をセットで考える
空き家・使っていない実家の不動産を
「売るか貸すか」 というテーマには、
やはり絶対的な正解はありません。
大事なのは、
- 今の収支や管理の負担をどうしたいのか
- 将来の相続や家族のライフプランをどう考えているのか
- ご家族として、どんな気持ちでこの家と向き合いたいのか
といったことを整理したうえで、
自分たちなりの「納得できる答え」を見つけていくことだと思います。
空き家・実家の不動産でお悩みの方へ|ICHIRYUがお手伝いできること
「実家や空き家を売るか貸すか、一度相談して整理したい」
「相続や税金のことも気になっているが、何から聞けばいいかわからない」
という方は、どうぞお気軽にご相談ください。
株式会社ICHIRYUでは、
- 不動産売却・賃貸の実務
- 相続や資金繰りを含めた経営・お金の視点
の両方から、
空き家・実家の不動産についての「売るか貸すか」の整理や、今後の方針づくりのお手伝いをしています。
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