このコラムについて(はじめに)
このコラムは、
「不動産一括査定サイトって、実際どうなんだろう?」
「便利そうだけど、なんとなく不安もある」
という 中小企業オーナー・個人オーナーの方 に向けて書いた記事です。
まず最初にお伝えしておきたいのは、
弊社(株式会社ICHIRYU)は、一括査定サイトを運営していません。
また、自社ホームページ上でも「一括査定サービス」は行っていません。
その上で、
- 不動産会社側・オーナー側の両方の実務を知る立場から
- 一括査定サイトの 仕組み・メリット・デメリット を整理し
- 中小オーナー・個人オーナーが どう付き合うのが現実的か
を、できるだけ中立にお話していきます。
不動産一括査定サイトとは?(基本の定義)
一括査定サイトの仕組み
- 「不動産 一括査定」などで検索すると、
SUUMO、LIFULL HOME’S、イエウール、イエウール、イエイ、HOME4U など、
一括で査定依頼ができるサービスが多数出てきます。※(代表的なサイトはいずれも、複数社が登録し、ユーザーの情報を共有して査定する仕組みで共通) - 仕組みは概ね共通しています:
- オーナー側が
- 物件所在地
- 種別(マンション・戸建・土地・一棟など)
- 築年数・面積
- 連絡先(名前・電話・メール)
をフォームに入力して送信
- 一括査定サイトに加盟している複数の不動産会社に、その情報が配信される
- 各社が机上査定(簡易査定)を行い、メールや電話で査定結果・提案を連絡する
- オーナー側が
- 不動産会社側は、この一括査定サイトに対して 広告費や成果報酬を支払っているケースが多い とされています。
(オーナーから見えるのは「無料」でも、裏側では広告モデルで成り立っています)
何のためのサービスか
- オーナー側から見ると:
- 1回の入力で複数社から査定をもらえる
- ざっくりした相場感が短時間でわかる
- 不動産会社側から見ると:
- 「売却を検討しているオーナー」と出会うための広告チャネルの1つ
一括査定サイトの要点:メリットとデメリット
メリット(うまく使えれば便利なところ)
- 相場感をざっくりつかみやすい
- 1社だけでなく、複数社の査定価格が並ぶため、
「あ、このくらいの幅なのか」と レンジでの感覚 がつかみやすい。
- 1社だけでなく、複数社の査定価格が並ぶため、
- 近くに馴染みの不動産会社がない人には入口になる
- 付き合いのある不動産会社がない、地方在住で相談先が分からない、
という場合の “最初の窓口” としては機能しやすい。
- 付き合いのある不動産会社がない、地方在住で相談先が分からない、
- 大手〜中小まで、普段なら出会わない会社とも比較できる
- 登録事業者数が多いサイトもあり、
地場の不動産会社と大手仲介会社を同時に比較できるケースもある。
- 登録事業者数が多いサイトもあり、
デメリット・注意点(実務側から見たリアル)
- 査定価格が高い会社ほど目立ちやすい構造
- サイト上では「最高○社に査定依頼」と謳われますが、
オーナーの目を引くのは 「一番高い査定額」 になりがちです。 - 不動産会社側にも「まずは目に留まる査定額を出したい」というインセンティブが働きやすく、
“スタート時だけ高めに出す” ケースも現場では見られます。
- サイト上では「最高○社に査定依頼」と謳われますが、
- 電話・メールが多くなり、比較がストレスになることも
- 5社〜6社に査定依頼をすると、その分だけ連絡も増えます。
- 仕事が忙しいオーナーほど、
「誰がどの会社で、何を言っていたのか分からなくなった」
「比較しきれず、途中で考えるのをやめてしまった」
という状況になりやすいです。
- 「高く売れるはず」という前提で資金計画を立ててしまうリスク
- 査定額はあくまで「見込み価格」「提案価格」であり、
その価格で必ず売れる保証ではありません。 - 一括査定で出た高い数字をベースに
- 事業計画
- 借入返済計画
を組んでしまうと、
実際の成約価格との差分が、後から資金繰りを圧迫することもあります。
- 査定額はあくまで「見込み価格」「提案価格」であり、
比較:一括査定サイトの「使いどころ」と「避けたほうがいいケース」
一括査定サイトが向いているケース(一般論)
- とりあえず相場感だけ、ざっくり知りたい段階
- どの不動産会社に相談するか、まだ全く当てがない
- 大手〜地場まで広く候補を見てみたい
- すでに売却する方向はほぼ決めていて、「じゃあどの会社に任せようか」という比較フェーズ
※この場合も、「高い査定価格=良い会社」とは限らないことを頭の片隅に置いておくことが大切です。
一括査定サイトを“そのまま鵜呑み”にしない方がいいケース
- 売却後の資金を、
- 事業資金
- 新規投資
- 相続対策
などに使う予定で、 失敗したくない度が高いケース
- 変わった権利関係(借地権付き、底地、共有持分 等)がある物件
→ 一般的な机上査定だけでは評価しきれないため - すでに複数の銀行・税理士・顧問などとの関係があり、
全体のバランスを見ながら意思決定したいケース
こうしたケースでは、
一括査定サイトの結果はあくまで「参考情報」にとどめ、
実際の売却戦略や資金計画は、個別の相談の中で詰めていく方が安全です。
具体例:中小オーナー・個人オーナーが取るべき現実的なステップ
ここからは、実際に
「一括査定を使うか迷っている」
「もう使ってしまって、結果がバラバラで困っている」
という方に向けて、
現実的なステップ を整理してみます。
STEP1|一括査定を使う前に「目的」を1行書き出す
- 「ローンを完済して、残りを事業資金に回したい」
- 「相続対策として現金化しておきたい」
- 「賃貸に出すか売るか迷っているので、まずは売却価格の目安を知りたい」
など、一括査定を使う目的を1行だけでいいので書き出しておくと、
結果の見方がブレにくくなります。
STEP2|一括査定サイトは「価格のレンジ」を知るために使う
- 各社から出てきた査定価格を見て、
- 「2,800〜3,200万円くらいのレンジなんだな」
程度に捉えます。
- 「2,800〜3,200万円くらいのレンジなんだな」
- この段階では
- 一番高い会社
ではなく、 - 説明が丁寧な会社
- 根拠をきちんと出してくれる会社
に注目しておくと、その後の比較がしやすくなります。
- 一番高い会社
STEP3|気になる会社を2〜3社に絞り、「人」を見る
- 一括査定でいきなり5〜6社とやり取りすると、かなり大変です。
- 査定結果を見て、
- エリアに強そう
- 説明がわかりやすい
会社を 2〜3社に絞り、個別にオンライン・対面で話を聞いてみる のがおすすめです。
このとき、
- こちらの事情(いつまでに売りたいか、売却後のお金の使い道など)を
きちんと聞いた上で提案してくれるか - メリット・デメリット両方を話してくれるか
という観点で見ると、 「誰に任せるか」 が決めやすくなります。
STEP4|資金計画・事業計画に落とし込む前に「一度立ち止まる」
- 中小企業オーナーの場合:
- 売却代金は
- 借入返済
- 事業投資
- 将来の不動産再投資
などに使うことが多いと思います。
- 売却代金は
- その前提で、
「提示された査定額・想定売却価格を前提にして、
本当にこの資金計画で大丈夫か?」
を、一度落ち着いてチェックすることが大切です。
- 特に、
- 複数物件をお持ちの方
- 法人名義・個人名義が混在している方
は、全体のバランスを見ながら意思決定した方が安全です。
まとめ|一括査定サイトは「便利な道具」だが、「すべての答え」ではない
ここまで、不動産一括査定サイトについて
- 仕組み
- メリット
- デメリット
- 向いているケース/注意したいケース
- 現実的なステップ
を整理してきました。
一括査定サイトは、
- 相場感を知る 入口としては便利な道具 ですが、
- 「一番高い査定価格=正解」ではありません。
- 特に、中小企業オーナー・個人オーナーにとっては、
売却価格そのものよりも、「売った後の資金計画」や「全体のバランス」が重要 です。
だからこそ、
一括査定サイトの数字は「参考情報の1つ」
実際の売却戦略と資金計画は、個別の相談の中で固めていく
というスタンスが、現実的で安心できる選び方だと感じています。
株式会社ICHIRYUが一括査定サイトとどう付き合っているか
最後に、弊社の立場も少しだけお伝えしておきます。
- 株式会社ICHIRYUは、
一括査定サイトを運営しておらず、自社サイト上でも一括査定サービスを行っていません。 - そのため、
- 「どこかの一括査定に申し込んでください」という立場でも、
- 「一括査定は絶対ダメです」という立場でもありません。
現場の感覚としては、
- 「使うなら、こういう点に気をつけるといいですよ」
- 「使ってみて迷子になったなら、一緒に整理しましょう」
というスタンスで、一括査定サイトと付き合っています。
一括査定サイトを「使う前・使った後」に迷っている方へ
「すでに一括査定サイトを使ったが、各社の言うことがバラバラでよく分からない」
「売却価格だけでなく、ローン・事業資金・相続・次の投資まで含めて整理したい」
という中小企業オーナー・個人オーナーの方は、
どうぞ一度ご相談ください。
株式会社ICHIRYU(イチリュウ)は、
首都圏(東京・埼玉・神奈川・千葉)を中心に、全国の不動産売却・収益不動産・事業用不動産のご相談に対応しています。
- 不動産売却・収益物件・事業用不動産の実務経験
- 資金繰り・決算・銀行対応など、経営財務の視点
この2つをあわせ持つことを強みとして、
「不動産だけ」ではなく、「不動産とお金の全体像」を同じテーブルで整理するお手伝いをしています。
まずは、
- 今の状況
- お持ちの不動産(所在地・種別・ローンの有無など)
- 将来どうしていきたいか(売却・賃貸・保有継続 など)
をざっくりお聞きしたうえで、
一括査定サイトの結果も含めて、売却・賃貸・保有継続などの選択肢を一緒に並べて整理していきます。
首都圏エリアの対面相談はもちろん、
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